いままでレモンの名画としてゴッホやルノワールの作品を紹介してきました。今回はセザンヌの描くレモンを紹介していこうと思います。
セザンヌは「近代絵画の父」と称され、知らない人はいないフランスの画家の1人。最初の頃は印象派に属していましたが、やがてルールに縛られない自分だけの絵画を探し求め、ポスト印象派の代表格として名を馳せるようになります。淡く落ち着いた色使いと繊細な筆使いでふんわり優しい印象の作品が多いように思います。セザンヌについては多くの専門家が批評しているので作風に関してはこれくらいにしておきましょう。
セザンヌの作品は人物画や水浴画などいまもさまざまなカテゴリーのものが残っていますが、静物画にも名作がたくさん残っています。そして、なぜか静物画に関しては「リンゴ」モチーフが多いのです。もうリンゴばっかりといっても過言ではないくらいに多いんです。
Stilleben mit Flasche und Apfelkorb
Still Life with Apples and a Pot of Primroses
柑橘系ではたまにオレンジが登場しますが、本当にレモンが少なくて探し出すのに苦労しました。そしてやっと見つけたのが、こちらです。
Still-life in Blue with Lemon
1873-77年作
Paul Cézanne ポール・セザンヌ
フランス出身 1839〜1906年
セザンヌについて詳しくはこちらをご覧ください。
暗いキッチンの片隅でしょうか。レモンの黄色とボウルと布の白が映えています。ここにレモンの黄色がなかったら酷く冷たい印象になっていたと思います。ここに一個あることで一筋の光を射したような明るさがプラス。いいアクセントにレモンが使われているなぁと思います(料理でもお菓子でもレモンはそういう使われ方が多いですよね)。
レモン1個を見つめていると特にハイライトで白を使うこともしていないのに立体感が出ています。黄色の微妙な色のさじ加減で奥行きを出しているんでしょうね。とてもキレイな色とカタチをした美人さんなレモンです。
ステキな静物画を描く方だったので、リンゴくらいいっぱいレモンも描いてくれていたらなぁ…。ひょっとしたらセザンヌはリンゴがいっぱい取れるけどレモンはあまりない地域に住んでいたのかもしれませんね。確かにリンゴの産地・長野や青森でレモンは獲れないですし、この時代の流通は発達していないでしょうから。
と1人納得して、今日はこの辺にしたいと思います。それではまた〜!